現代の海賊

  • 外航貨物海上保険について社内勉強会をしていると、海上輸送時のリスクの例に「海賊」という言葉を見つけたスタッフから驚きの声があがりました。

 

  • 「海賊」と聞くと、つい、某テーマパークのアトラクションや映画のイメージが先行しますが・・・現代においても、海賊と呼ばれる集団また海賊行為が発生しています。数にして年間約100件。その多発地帯は(私達のイメージしがちな)カリブ海ではなく、アフリカ大陸沿岸。外務省ホームページにも「海賊等事案に関する注意喚起」として公式発表が出ています。

 

  • 現代の海賊の目的の多くは、標的にした船舶の積み荷の略奪ではなく、乗組員を人質に身代金を得ること。船舶そのものの乗っ取り(ハイジャック)が成功する時もあれば、一部の船員を誘拐するケースもあるようです。先日の投稿で出てきたスエズ運河の近海でもそのような事案が発生していますので、世界の海上輸送において依然として大きなリスクとなっています。

 

  • 保険の考え方において、海賊は戦争危険の分類になりますので、通常の外航貨物海上保険では免責事項に該当します。(特約でカバーすることも可能です。)
    一方で、身代金交渉を請け負う会社への代金や、身代金そのものをカバーする保険というのも存在しています。リスクの多様化と共に、保険の世界は果てしなく広がる・・・知れば知るほど、そう思わずにいられません。

#外航貨物海上保険 #物流リスク #貨物の保険 #海上輸送

スエズ運河座礁船 共同海損の宣言について

去る3月23日、台湾の船会社が運航するコンテナ船「EVER GIVEN」がエジプトのスエズ運河で座礁しました。本船は救助により29日に離礁に成功しましたが、4月1日、船主が共同海損を宣言しました。

共同海損とは、船舶と貨物が共同の危険にさらされた時、この共同の危険を免れるためにかかった救助費用や犠牲になった物の損害費用を、船舶・貨物の所有者が共同で負担しようする仕組みのこと。
海難事故は自動車事故と違い、過失割合を算定することや事故原因そのものの特定が難しい!それならば、全ての費用を当事者間で負担するしかない、という考え方ですね。

今回のEVER GIVENのケースにおいては、本船に貨物を載せていた荷主は、自身の貨物が破損している・いないに関わらず、共同海損で生じた費用の支払いを求められます。このような金銭的負担に加え、貨物の引き渡しを受けるのに必要な事務手続きにも、大変な手間と時間がかかります。精算や事務手続き完了まで数年かかることも珍しくありません。

当社が扱う貨物保険を付保していると、保険会社に必要書類を提出するだけで、以降のほぼ全ての行程を保険会社に任せることができます。

詳しくは、貨物保険についてのページをご覧ください。

貨物保険について

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